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「家の炒飯」をプロレベルにしたい!米を6000粒選別すると、味はどう変わる?
お店で食べる炒飯と、家で作る炒飯に全く差がないと言い切れる人はどれ程いるのだろうか。家で作る炒飯も、それはそれでおいしいのだが、明らかにお店で食べるプロが作った炒飯とは別物だ。
プロの腕と素人の腕の差、と片付けてしまうこともできる。しかし、どうせなら家でもおいしい、プロっぽい炒飯を作りたいではないか。
当記事では、様々な方法で「ワンランク上の家の炒飯」(家庭での限界)の作り方を探ってみた。
ベンチマークは冷凍炒飯
まずは、どんな炒飯を目指すか、というベンチマークを決めておこう。お店の炒飯でも良いが、炒飯を出すお店は無限にあり、味のレベルも千差万別である。
そのため今回は、いつでも簡単に誰もがおいしく食べることができる「冷凍炒飯」をベンチマークとする。
冷凍炒飯にも種類はあるが、今回は筆者が特においしいと思っているロイヤルシェフの冷凍炒飯を採用する。某TV番組でマツコデラックスさんも絶賛していた逸品だ。
家で作る炒飯と冷凍炒飯の違いを探るために、まずは「冷凍炒飯の製造法」について、ロイヤルシェフの冷凍炒飯を販売するユーシーシーフーヅの担当者に直接聞いてみた。
あれだけおいしい炒飯を提供しているのだから、一滴垂らすだけで炒飯が魔法のようにおいしくなるタレや、一瞬で「米をパラパラにする高エネルギー波」など、企業ならではの秘密があるのではないだろうか。
冷凍炒飯のおいしさの秘密は、結局、地道で丁寧な食品加工だった
ユーシーシーフーヅの担当者に電話で「なぜお宅の炒飯はそんなに美味しいんですか?」という旨の質問をしてみたところ、返ってきたのが以下の回答だ。
「ワンランク上の家の炒飯」を作るためにどう活かせるか? と考えたことも青字でメモした。
とにかく、高温短時間で炒めている。
低温長時間で炒めると、油が米に染み込んでしまう。パラパラ炒飯の条件である「米が油でコーティングされる状態」を作るためには、高温短時間での調理が重要。
→普段も出来るだけ鍋を熱するようにしているが、家庭のコンロでは限界があるため、プロレベルに合わせるのは難しい。
米の選別をしている。
同じ袋の中の米でも、質は一定ではないため、米を選別し質を統一している。”しらた米”(シラタマイ)と呼ばれる真っ白い米は食感が悪い。また、割れている米も加工した時にベチャついてしまう。それらは選別し、綺麗な楕円形のお米のみで製造している。
→いつもは米の質どころか、古めの冷凍ご飯を使っている。炒飯に使われるであろう1合分の米を人力で選別する。
香味油を使って風味付けしている。
時間が経つと油やチャーシューの風味は失われやすいが、香味油を使うことでお客様がレンジ調理したあとにも出来たての風味が味わえる。
→いつもは適当に醤油をまわしかけるだけだったが、仕上げに入れてみる。
チャーシューのタレを一緒に炒めている
お店の味に近づけるためにしている工夫は「チャーシューのタレ」。他のメーカーとは違うこだわりのひとつ。
→これも、いつもは適当な豚コマなどで作っていたが、チャーシューをたれごと入れてみる。
材料は国産
もちろん、材料はすべて国産。コスト維持のために国内での産地は度々変わるが、味・品質の確保は努力でカバーしている。
→普段から国産材料を使っているので問題なし。
聞けたことは、以上だ。企業秘密保持のためにあまり詳しく教えてくれないことを危惧していたが、意外と丁寧に教えてくれた。
しかし、幸か不幸か、この取材で分かったことは、「おいしい炒飯を作るためにクリティカルな方法などないのではないか」ということ。
魔法のタレも、「米パラパラ高エネルギー波」などの炒飯テクノロジーを隠している気配すらなく、 取材から伝わってくるのは徹底した品質へのこだわりと、一手間一手間、丁寧に行われている食品加工への思いだけだった。
ならば、「家の炒飯」のランクアップも地道に目指そう
取材で聞いたことを元に、「ワンランク上の家の炒飯」を作るためのポイントをまとめると、やるべきことは、
- 米の選別
- 具材、調味料のグレードアップ
である。とてもシンプルだが、これだけで「家の炒飯」はどれだけ変わるだろうか?
「家の炒飯」を劇的に変えられるか? 6000粒の米の選別
まずは米の選別だ。この米の選別、筆者は取材以前にも見たことがある。グルメ漫画美味しんぼに登場していたのだ。
詳しい流れは割愛するが、「高級ではない食材を使って相手をもてなす」ために行われたのが、この米の選別だ。ロイヤルシェフの冷凍炒飯のように、米の質を揃えることでご飯が劇的においしくなるという。
筆者だけで実行するのは大変厳しかったため、編集部の仲間を動員し、作業に当たった。
まずは米の選別だ。この米の選別、筆者は取材以前にも見たことがある。グルメ漫画美味しんぼに登場していたのだ。
非常に目が疲れる作業である。本当にこんなことをしておいしくなるのか?という疑念が精神力をも削る。
一番左が「良い米」、二番目からが選別で弾いていく「しらた米(シラタマイと読む。食感が悪い真っ白な米のこと)」、「欠けた米」、「大きさが違う米」だ。
選別完了!掛かった時間は、1合分で約1時間20分。およそ6000粒以上の米を選り分けた。
同じ袋の中に入っていた米なのに、A級品とB級品に分かれた。B級品を炊き上げた味も気になるが、それはまたの機会に。
「家の炒飯」であることを遵守し、炊飯器も普段のものを使う。未だかつてない手間暇をかけられた米の炊き上がりはどうだろうか?
なんとなくだが、美しさ、荘厳さを感じる。
このまま食べてみたいところだが、ぐっと堪えて炒飯を作ってみる。
さあ、「家の炒飯」のランクアップを目指そう
具材・調味料は以下のようなシンプルな構成だ。ほとんどいつもと同じだが、チャーシューとそのタレ、香味油を追加している。分量もいつも通りに目分量だ。
- ご飯
- 長ネギ
- 卵
- チャーシュー(タレも)もしくは豚コマ
- 塩胡椒
- 中華風調味料
- 香味油 (いつも通りに作る時には入れない)
- 醤油
作り方も、普段の「家の炒飯」と同じ方法をとる。
- 1.油を十分に熱し、チャーシューと長ネギを炒める
- 2.卵を投入し、半熟になったらご飯を投入し、炒める
- 3.パラパラになったら、調味料で味付け
これらの具材・作り方で出来たのが、この炒飯だ。
ごろっとしたチャーシューが贅沢で良い。米の選別、香味油による影響は見た目には分からないが、パラパラ具合も上出来だ。
はたしてこの一皿は、「ワンランク上の家の炒飯」になっているのだろうか。
そして、比較用に「いつも通りの家の炒飯」と、ロイヤルシェフの冷凍炒飯も用意した。
「いつも通りの家の炒飯」は、本当に普段通りに冷凍ご飯で作ったため、見た目からも少々ベタついている印象がある。
早速、食べ比べてみよう。
「米の選別」は味にどう影響する?
まずは、「いつも通りの家の炒飯」だ。味は分かりきっているのだが、一応試食してみる。
実験を行っているオフィスが自宅かのように感じられるほど、いつも通りだ。すごくおいしくはないが、まずくもない。安心感はある。この味をBランクとし、基準とする。
次は、今回の記事のメインである「ワンランク上の家の炒飯」候補だ。米の選別といつもよりちょっと良い具材・調味料はどう出るだろうか。
明らかに、こちらの方がおいしい。普段作っている炒飯がこれだったら、「得意料理は炒飯です」と胸を張って言える。
米は一粒一粒がパラリとしており、独立している。明らかに、米の選別が功を奏している!単に変えただけ・足しただけのチャーシューと香味油も炒飯をリッチにしており、「家の炒飯」としてのランクは確実に上がっている。
これは確実にAランクだ。炒飯という食べ物は、作り手の苦労や思いにしっかり応えてくれることが証明された。
結論1:米の選別と具材・調味料の本格化で「家の炒飯」は確実にレベルアップする!
米の選別作業が徒労に終わらず、本当に良かったと思える結果になった。
しかし、認めなければならないことがひとつある。それは冒頭でも触れた”プロとの差”だ。
「ワンランク上の家の炒飯」を食べた時に、既に感じていたことだが、この機会にきちんと「プロの炒飯」と「家の炒飯」の差と向き合っておこう。改めて、ロイヤルシェフの冷凍炒飯も試食する。
米の一粒一粒に均等に行き渡る味付け、パラパラと米の一粒一粒が独立しつつも、ふんわりとまとまった食感など、やはり「家の炒飯」では再現できない繊細さが、ロイヤルシェフの冷凍炒飯にはあるように感じた。
筆者の好物という点を差し引いても、文句無しのSランクだ。
結論2:「家の炒飯」をランクアップさせても、ロイヤルシェフの冷凍炒飯には勝てないかもしれない
誰が作っても平等においしく、レンジがあればいつでも簡単に食べられるという利便性の高さにおいても、冷凍炒飯に「家の炒飯」が勝つことはできないかもしれない。
その事実を噛み締め、これからも、絶対に冷凍庫の中にはロイヤルシェフの冷凍炒飯を入れておきたいと改めて感じた。
ただ、やはり「家の炒飯」はロイヤルシェフの冷凍炒飯のような「プロの炒飯」とは別物と考え、これからもワンランク上のおいしさを追求していきたいと思う。
ロイヤルシェフの冷凍炒飯は270gと1kgがある。購入はこちらから。