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飲食店の開業準備は12ヶ月かかる?準備の流れやポイントを詳しく解説
飲食店の開業準備にはさまざまなやるべきことがあります。
しかし実際どんな手続きや準備があるのかわからない人も多いでしょう。
「最初から終わりまで、体系的にまとめられたわかりやすい情報があればいいのに!」という人のために、本記事では準備開始から開業までを順を追って解説していきます。
本記事を見れば流れやポイントが一目瞭然です。ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の開業準備は12ヶ月前から始めましょう
飲食店の開業準備は、少なくとも開業からさかのぼって12ヶ月前から始める必要があります。
思い立ったが吉日と言いますが、飲食店の開業に限っては当てはまりません。
なぜなら、入念に準備をせず、見切り発車で開業したケースでは6割以上のお店が2年以内に閉店しているからです。
開業準備12ヶ月プラン
開業準備期間の12ヶ月の流れはおおむね以下のようになります。
- 1.12ヶ月前【コンセプト設計】
- 2.11ヶ月前 【商標登録】
- 3.10ヶ月前~8ヶ月前 【店舗用物件探し】
- 4.7ヶ月前~5ヶ月前 【資金調達】
- 5.4ヶ月前 【メニュー策定】
- 6.3ヶ月前 【店舗内外装設計や人材採用】
- 7.2ヶ月前~1ヶ月前 【資格取得・営業許可などの手続き】
- 8.開業
上記のように飲食店の開業には、さまざな準備が必要になります。
次段落より詳しく解説していきます。
【12ヶ月前】コンセプト設計
飲食店の経営においてコンセプト設計は重要です。
なぜなら、開業準備のすべては、コンセプトを基準にして行うからです。
コンセプト設計を甘く見てはダメ
飲食店の開業が成功するかどうかは、コンセプトにかかっています。コンセプトが決まっていない状態は、地図を持たずに無人島をさまようようなものです。
例えば、コンセプトを決める前に店舗の契約をしてしまった場合、あとから「客席スペースはもっと広いほうがよかった」といった後悔をすることにもなりかねません。
まずは、コンセプトという地図を描きましょう。
5W1Hを使ってコンセプトを明確にしよう
飲食店のコンセプトにおける5W1Hとは以下のようなものです。
- 1. what=どのような料理を、
- 2. who=どの客層に、
- 3. where=どのような立地で、
- 4. when=何時くらいに、
- 5. why=どのような動機で、
- 6. how=どのような接客で、
上記の順に、コンセプトを明確にしていきます。
- 1. what=こだわりの有機野菜がメインのフレンチを
- 2. who=ベジタリアンの人、野菜が不足しがちな人、高齢の人、ヘルシー志向なカップルに
- 3. where=人通りの多いアーケード街のような商業施設にある店舗で
- 4. when=ランチタイム~ディナータイムに
- 5. why=一つ一つの食材と真摯に向き合った料理を提供したい、野菜本来の美味しさを味わって欲しいから
- 6. how=高齢の人や小食の人のために、ポーション少なめのコースを用意。豊富な品揃えの中から最適なワインを提供
【11ヶ月前】商標登録
飲食店を開業する時は、こだわりの店名を付けたいものです。
しかし、いい店名を思いついたからといって、何の準備もなく使用することは危険です。
店名などはある意味早いもの勝ちであり、先に付けた人に権利があります。
思いつきで店名を付けると商標侵害になる
商標登録とは、自分で考案したお店の名前やロゴマーク、キャラクター絵などを特許庁に登録することで、自分専用として使用できる権利のことです。
他の人が使用したい場合は、ライセンス料を支払うことで使えるようになります。
飲食店を開業する時には、必ず店名を付けることになりますが、思いつきで付けるのは危険です。
オリジナルの店名を付けたつもりでも、すでに他のお店が商標登録を済ませている場合は商標侵害になります。
商標侵害に該当し、警告を受けたにも関わらず、適切な対処をしない場合は損害賠償請求されることがあります。
そうなれば、お店の評判にも傷が付きます。
また、損害賠償請求を避けるために適切な対処を行う場合は、商標侵害にあたる店名などが入った名刺やwebサイトなどはすべて使用できなくなります。
店名などを新たに使用する場合は、必ず特許庁のデータベースでよく似た店名が登録されていないか確認することが重要です。
もし、自分で確認することが難しい場合や不安な時は、調査会社や弁理士などのプロに依頼する必要があります。
商標登録は時間がかかるので早めの登録を
商標登録は出願してから約11ヶ月ほどかかります。そのため、開業準備の中でも特に早く行動に移す必要があります。
なぜなら、万が一、商標登録が間に合わなければ、開業早々にトラブルに巻き込まれる可能性があるからです。
【10ヶ月前〜8ヶ月前】店舗用物件探し
一般的に、店舗用物件を探す前に資金調達が必要になると考えている人は多いです。
しかし、むしろそれは逆で、店舗用物件を先に確保してから資金調達に取り掛からないと、うまく準備が進みません。
物件探しは資金調達より先にしましょう
物件探しは資金調達より先に行わなければなりません。
世間一般的には「資金調達を優先し、資金を確保してからでなくては物件を借りることができない」といったイメージがあります。
そのため、物件確保は後回しでいいと考えます。
資金がどれくらい集まるかによって、借りる店舗のレベルが決まってくると思われているからです。
資金が手元になければ、貸主も契約を渋るのではないか、と考えることはある意味自然です。
物件探しを優先する理由は、物件を確保しているという事実が、資金調達時に用意する事業計画に必要になるからです。
なぜなら、事業計画には物件の利便性や家賃の金額などはもちろん、なによりどこに店を出すのか、という具体的な開業イメージを持たせなければならないからです。
物件を確保すると、事業計画に現実性が出てくるので、物件オーナーとは仮契約を行い、あとは資金調達さえうまくいけば本契約できる段階まで交渉する必要があります。
物件を仮押さえする時に手付金が発生することがあります。
ただ、オーナー側も飲食店を開業するなら資金調達の目途は立っていると考えるので、交渉次第では手付金なしで仮押さえできる場合もあります。
また、開業準備期間の家賃について交渉し、減額かもしくは、免除してもらうことも可能です。
物件探しは施工業者にも同行してもらう
物件の内見の時には、実際に自分の店を担当してくれる施行業者に同行してもらいましょう。
自分が考える店舗のイメージが再現可能かその場で判断してくれます。
また、居抜き物件の場合は、備え付けの設備が使用可能か、もしくは撤去するべきなのかを判断してくれます。
その他、修正の余地がないかのアドバイスをもらうために、自分のイメージを詳しく伝えることも有用です。
物件オーナーの中には、施行業者が決まっているかどうかで仮押さえや本契約の成否を判断する人がいます。
そのため、施行業者が同行していると、話が早く進むメリットがあります。
物件探しを早い段階で行う理由は、物件を確保したら資金調達の交渉、内外装工事、スタッフ教育などに早く取りかかれるからです。
資金調達からスタッフ教育まで、期間にして4ヶ月~5ヶ月ほどかかると想定しておくべきです。
また、仮押さえで家賃が発生する場合は、5ヶ月ほど収入がなく、家賃だけを払うことになります。
そのため、前もって、収入のない準備期間の家賃を用意しておかなければ、資金繰りが行き詰まることになります。
物件探しが早く終われば、自己資金から家賃を引いた金額がわかるので安心です。
【7ヶ月前〜5ヶ月前】資金調達
資金調達には、まず自己資金を用意し、足りない部分を融資で補うという形が一般的です。
特に、自己資金をどれだけ用意できるかが重要になります。自己資金が不足していると、場合によっては融資が受けられないこともあります。
用意しておきたい開業資金は1000万円前後が理想
自己資金として300万円ほど用意し、残りの700万円は融資を受ける形になります。
開業資金の平均額は、2018年で1062万円で、2017年と比べると81万円減少しています。
居抜き物件なら、資金が比較的少額でも開業することができます。
なぜなら、居抜き物件の場合、キッチンなどの設備をそのまま譲り受けることができるからです。
譲り受ける時に造作譲渡代を支払います。
自分で新しく設備を用意するより安く済むため、比較的少額で開業できるわけです。
ただ、居抜き物件はいつでも見つかるとは限りません。運がよければ程度に考えましょう。
飲食店の開業資金は、業態や立地によってことなりますが、物件の保証金や設備などを整えるためにはおおむね1000万円ほど用意することが望ましいです。
必要資金の具体例は、以下のようなものがあります。
- 1. 店舗物件を借りるための保証金や礼金
- 2. 調理器具や厨房機器の設置
- 3. 人材採用費やメニュー策定費
開業時、オープンしたばかりということでお客さんが一時的に多くても、3ヶ月目あたりから徐々に客足が減ってくる場合は多いです。
そういった状況でも当然支払いや返済があります。非常時に備えるために自己資金は最低300万円は用意しておくべきです。
自己資金は開業後に手元に持っておくべき運転資金です。
日本政策金融公庫の調査データでは、飲食店を開業する人は平均292万円用意しています。
4つの資金調達方法
資金調達の方法はおおむね以下の4種類あります。
- 1. 血縁・親族関係からの資金調達
- 2. パトロンを利用した資金調達
- 3. 民間の金融機関からの融資
- 4. 日本政策金融公庫の融資制度
次項から詳しく説明していきます。
資金調達の方法1 血縁・親族関係からの資金調達
血縁・親族からお金を借りる時のメリットは、お金を返済義務のない出資という形にしてもらえた場合、自己資金の一部として取り扱われることです。
自分のお金と合わせれば、自己資金の総額は大きくなり、後ほど説明する融資を受ける時の審査が通りやすくなります。
デメリットは返済義務がある借り入れの場合、書面で返済期日や利息をはっきりさせておかないと、親族間の関係が悪化することです。
資金調達の方法2 パトロンを利用した資金調達
パトロンとは、血縁・親族以外でお金を貸してくれる人のことです。
事業計画を説明し、これから経営していくお店の魅力を伝えてお金を出してもらいます。
信頼できる友人や培ってきた人脈があれば有利です。
メリットは、関係性にもよりますが、返済義務のない出資の形にしてもらえたり、返済期日の延長を頼みやすいといった融通がきくところです。
デメリットは、融資担当が「見せ金として自己資金を水増ししているのではないか?」と警戒して、審査が厳しくなることがあります。
資金調達の方法3 民間の金融機関からの融資
借り入れの難易度は、どの金融機関を利用するかで変わります。
銀行などであれば、金利は適性ですが審査に時間が掛かり、他の民間の金融機関であれば審査は早いが、金利が高いといった場合があります。
窓口に行き、事業計画書を提出して審査を受けます。
審査の成否は、資産状況や担保の有無、事業計画書の具体性によって左右されます。
資金調達の方法4 日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫とは、日本政府が100%出資している株式会社です。
銀行などよりも融資が受けやすい特徴があります。
基本的に創業計画書を持って窓口で申し込みます。その後、面談や店舗の視察などがあります。
一般貸付は、運転資金4800万円、特定設備資金7200万円です。
メリットは、銀行などと比べると低金利、かつ審査が通りやすいことです。
デメリットは、銀行などと比べて審査に時間がかかることと、状況によって保証人が必要なことです。
補助金や助成金は開業時の資金になる?
補助金・助成金とは、基本的に返済の必要のないお金を国などが支給してくれるものです。
補助金のメリットは、開業前でも申し込めることと、受給が認められれば信用が高まることです。デメリットは、後払いのためすぐにお金が入らないことです。
助成金のメリットは、条件さえ満たせば原則支給されます。デメリットは、人気のあるものは受付が早く終わることです。
補助金には、創業補助金、創業支援事業者補助金などがあります。
助成金には、子育て女性起業支援助成金、キャリアアップ助成金があります。
【4ヶ月前】メニュー策定
メニュー策定は、一定の期間、様子を見てカスタマイズしていく必要があります。
メニュー策定は、お客様が料理を頼みたくなるような工夫が必要です。
具体的には、一定期間、メニューに対する反応を観察し、悪ければお客様の体験談を追加したり、料理名の下に使っているこだわりの野菜や調理法を記入したりと、カスタマイズしていく必要があります。
【3ヶ月前】店舗内外装設計や人材採用
店舗内外装設計は、コンセプトを店舗に反映させるために重要なものです。
また、レジの位置やスタッフの移動する通路、厨房での効率的な機器の配置などは、お客様やスタッフの居心地に直結します。
居心地のいい店舗は、飲食店経営を成功させるために必要です。
内外装工事は、店舗内外装設計が完了してから工事に入ります。
ですので、工期に余裕を持たせるためにも、設計は開業3ヶ月前から取り掛かることが望ましいのです。
また、コンセプトに合った設計事務所のスケジュールを抑えるためにも、早めの行動が必要になります。
人材採用は余裕を持って、3ヶ月前から行う必要があります。
人材採用は募集をかけて、面談し、検討します。
しかし、思ったより応募がなかったり、採用したい人がいなかったりと時間がかかることが多いです。
そして、採用後は育成の時間も必要になります。採用から育成が終わるまで、3ヶ月ほどの余裕を持った準備期間が必要です。
【2ヶ月前~1ヶ月前】資格取得・営業許可などの各種届出
飲食店を開業するためにはさまざな資格や許可、届出が必要になります。
この項目では、各店舗に必ず必要な有資格者、許可申請や届出先などについて説明していきます。
開業するために必要な資格は2つ
飲食店を開業するために必要な資格は2つあります。
必ず必要な食品衛生責任者と、収容人数によって必要になってくる防火管理者の2種類です。
この項目で、詳しく説明します。
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、飲食店などの食品を扱う店舗の衛生管理を指導、監督する人のことです。
店舗に必ず1人は配置しなければなりません。
食品衛生責任者の資格を取得するには、保健所で、講習とテストを受ける必要があります。通常は1日で終わり、費用も1万円程度です。
ちなみに、栄養士や調理師の資格取得者は講習を受ける必要がありません。
防火管理者
防火管理者は、収容人数が30人以上の店舗場合、必ず1人選任する必要があります。
延床面積300平米以上で甲種、未満で乙種の防火管理者となります。
防火管理者の資格は、消防署の講習会を受けることで取得できます。費用はテキストのみで、3000~5000円ほどで、乙種は1日で終わり、甲種は2日で終わります。
調理師免許は必要ない
飲食店を開業する時、調理師免許取得者は必ずしも必要ではありません。
食品衛生責任者と防火管理者が1人ずついれば問題ないです。
開業するために必要な届出
- 食品営業許可申請
- ※届出先:保健所
- ※対象の営業形態:食品を扱うすべての営業形態
- ※届出時期:店舗が完成する日の10日前まで
- 防火管理者選任届
- ※届出先:消防署
- ※対象の営業形態:収容人数30人を超える場合
- ※届出時期:営業開始前までに届出
- 防火対象設備使用開始届
- ※届出先:消防署
- ※対象の営業形態:建物を新たな形で利用する時
- ※届出時期:利用を開始する日の7日前までに届出
- 火を使用する設備等の設置届
- ※届出先:消防署
- ※対象の営業形態:設置する設備が火を使う場合
- ※届出時期:設備の設置前までに届出
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
- ※届出先:警察署
- ※対象の営業形態:酒を提供し、深夜0時以降も営業する場合
- ※届出時期:営業を開始する10日前までに届出
- 風俗営業許可申請
- ※届出先:警察署
- ※対象の営業形態:キャバクラなどの接待を行う場合
- ※届出時期:営業を開始する2ヶ月前までに届出
- 個人事業の開廃業等届出書
- ※届出先:税務署
- ※対象の営業形態:個人で起業する場合
- ※届出時期:開業した日から1ヶ月以内に届出
- 労災保険の加入手続き
- ※届出先:労働基準監督署
- ※対象の営業形態:従業員を雇用した場合
- ※届出時期:雇用した日の翌日から10日以内に届出
- 雇用保険の加入手続き
- ※届出先:公共職業安定所
- ※対象の営業形態:従業員を雇用した場合
- ※届出時期:雇用した日の翌日から10日以内に届出
- 社会保険の加入手続き
- ※届出先:社会保険事務所
- ※対象の営業形態:個人は任意、法人は強制加入
- ※届出時期:可能な限り早めに届出
まとめ
飲食店を開業する時は、12ヶ月前から準備する必要があります。
コンセプト設計~開業にいたるまで、やるべきことはたくさんあります。
ですが、本記事で紹介した流れに沿って準備を進めていけば、こまごまとした問題はあっても、おおむねスムーズにいきます。
重要なことはやるべきことの 流れや順番を事前に把握していることです。流れや順番を知っていれば、すぐに次の行動に移れます。
また「どの項目が時間がかかるか?」などのペース配分もできます。
自分の城を持つには労力とお金、そして時間が必要です。開業準備を楽しめるくらいの余裕を持って取り掛かりましょう。
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